「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」あらすじと感想(ネタバレあり)

こんにちは、マーゴです。

「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーンが、実在のテニスプレーヤー、ビリー・ジーン・キングを演じた「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」を鑑賞しました。

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」というタイトルから色っぽい話を想像したみなさん、ぜんぜん違いますから!
これは、1970年代に実際に行われた男女のテニスマッチ「Battle of the Sexes(性差を超えた戦い)」の話。
今では男女格差やゲイへの偏見も少なくなったアメリカですが、70年代は、まだまだ男性優位の社会。
そんな世の中へ一石を投じたテニス界の女王、ビリー・ジーン・キングの実話です。

あらすじ

女子テニス界の世界チャンピオン、ビリー・ジーン・キングは、女子の優勝賞金が男子の8分の1であることに愕然とする。 そこで、仲間とともにテニス協会を脱退し、「女子テニス協会を」を立ち上げる。
スポンサーも見つかり順調にツアーを続けていく中、彼女は、ひとりの美容師と親しくなる。理解ある夫がいながら、同性の美容師に友人以上の感情を持っていることに気づき戸惑いを隠せない。

ある日、元男子世界チャンピオンのボビー・リッグスが、男性優位主義の代表として試合を申し込んでくる。ボビーは、元世界チャンピオンといえどもすでに55歳で、完全に過去の人。私生活ではギャンブル癖のせいで妻から離婚を告げられ、この試合に、人生の一発逆転をかけていた。

全米が注目する中、それぞれの思いを胸にした29歳(女)と55歳(男)の世紀のテニスマッチが始まろうとしていた。

感想

今じゃ信じられないかもしれないけれど、「女は男より劣る」「女は台所と寝室にいれば良い」なんて発言を、地位も名誉もあるオジサンたちが堂々と公言していた70年代。
でも、私が就職した80年代当時だって会社に対して「結婚したら退職する」という誓約書を提出することは珍しくありませんでした。

男女平等については、アメリカの方が日本よりも先をいっているかもしれませんが、最近の映画界でもセクハラやギャラ格差の問題がありましたね。
正直な話、自分の父親や祖父の世代には、まだまだ男尊女卑の気持ちが心の奥底に残っている人は多いのだろうな、と思います。
人間、頭で理解できても、そんなに急に長年「常識」となっていた考えを覆せないもの。
今は、かろうじて「男尊女卑やセクハラ発言=失言」という常識に移行しつつある段階、といったところでしょうか。

ビリー・ジーン・キングは、ラリー・キングと結婚していたのですが、同性の美容師、マリリンへ気持ちが傾いていきます。男女格差同様に、ゲイへの差別や偏見も今以上の時代だったので、世界チャンピオンのビリー・ジーンは、自分の気持ちにうすうす気がつきながらも向き合うことを避けていたのかもしれません。

私が大好きなアラン・カミングが、ゲイのデザイナー役で登場します。彼がキャスティングされていることを知らずに映画館へ行ったので、しかも「ゲイのデザイナー」という役どころは、彼の十八番みたいなものなので、(私にとって)ちょっとしたサプライズと軽く受け止めていたのですが、映画の終盤、コートへ向かうビリー・ジーンに対する「彼の言葉」に涙腺がゆるみました。 アラン・カミング、ちょい役のように見えたのに、最後の最後で、このセリフのためだけにキャスティングされたのかと思うくらい、さすがの演技力をみせてくれました。
個人的には、ここがクライマックス!

ビリー・ジーンの対戦相手ボビー・リッグスは、自らを「男性至上主義のブタ」と名乗っていますが、全然悪役ではありません。
マスコミ相手に派手なパフォーマンスで世間の注目を集めますが、実は、現役引退後、いろいろダメダメ人生で、もがいている真っ最中。 男性優位主義の代表といいつつ、妻にベタぼれで頭があがらない。 まったく憎めない男。

じゃあ誰が悪役かというと、しいて言えばテニス協会のジャック・クレイマー。

“しいて言えば”というのは、彼が特別に男尊女卑なわけではなく、当時の男性にとっては、おそらくそれが「常識」だったと思うから。
ウーマンリブの波が押し寄せる中、紳士ではあるけれど、新しい考え方に思考が追いつかないジャックの姿は、現代においても珍しくありません。
まだまだいるよね、こういうオジサン…。

ビリー・ジーン・キングの活躍は、当時、ほんの子供だった私の記憶にも残っています。
子供の私にとって「たくましいオバサン(失礼!)」という印象だった彼女ですが、この試合の時は、まだ29歳だったのですね。

そんなたくましい印象のキング婦人(当時は、そう呼ばれてた)を華奢な印象のエマ・ストーンが演じると聞いた時は、「ちょっとイメージが違うかも」と思ったのですが、さすがプロ!
7キロも筋肉を増量し、髪を染めたエマは、見事にキング婦人になりきっていました。
正直に言うと、「ラ・ラ・ランド」は、私の心にまったく響かない映画だったので、エマへの評価も特にこれといってなかったのですが、今回は文句なしによかった!

まとめ

タイトルどおり、実際にあった「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」という試合の話ではあるけれど、試合の行方よりも試合へ向かうまでのビリー・ジーン・キングやボビー・リッグスの私生活が作品のほとんどを占めています。
しかも、対戦する2人が、どちらも悪役じゃないので、スポ根、勧善懲悪、サクセスストーリーという描かれ方はしていないし、そこが面白かったところ。

そもそも、この映画を見たいと思った理由は、監督がジョナサン・デイトン&バレリー・ファリスだったから。
私の超お気に入り映画「リトル・ミス・サンシャイン」を監督した2人です。
「リトル・ミス~」もそうだったけど、今一つ社会にフィットしない、葛藤を抱えた(でも愛おしい)人間を描く映画に私は弱いようです。

「男女格差」「同性愛」といった、超シリアスで重い作品になりがちなテーマを扱いながら、どこかコミカルでユーモアにあふれ、思わず笑っていると急に涙腺をくすぐられる、なんとも油断ならない作品。

脚本、監督はもちろん、キャストも脇役にいたるまで全員がよかった。

「全米が涙いた」大作ではないかもしれないけれど、やっぱり、映画はこうじゃなくっちゃね、とあらためて思った作品です。

作品情報

監督
ジョナサン・デイトンヴァレリー・ファリス
脚本
サイモン・ビューフォイ
出演者
エマ・ストーンスティーヴ・カレルアンドレア・ライズボロービル・プルマンアラン・カミングエリザベス・シューサラ・シルヴァーマンジャシカ・マクナミーエリック・クリスチャン・オルセンオースティン・ストウェルナタリー・モラレスマーサ・マックアイサックエヌーカ・オークマミッキー・サムナーマーク・ハレリックイーライ・ジェーン

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