世界のビジネスエリートが身につける教養 西洋美術史

こんにちは、マーゴです。

西洋美術史家、木村泰司さんの「世界のビジネスエリートが身につける教養 西洋美術史」を楽しく読ませていただきました。

木村泰司さんは「美術は見るものではなく読むもの」と唱えます。

なんの知識もなく絵画を鑑賞し、感性で″好き・嫌い”を感じることが悪いわけではないでしょうが、せっかく作品を鑑賞する機会を得たのに、それではもったいない。なぜなら、それは「まるでわからない外国語の映画を字幕なしでみているのと同じ」だから。

現在の価値観や常識で、数百年前の、それも異文化である西洋の作品を鑑賞したところで、その本当の素晴らしさや面白さはわからないのです。

昨年開催された「怖い絵展」も、その絵画が″なぜ怖いのか”の解説と共に展示したことが、大好評の一因であったことは言うまでもないでしょう。

私自身、大学で美術史を専攻したのは、ベラスケスの「ラス・メニーナス(宮廷の待女たち)」という絵画に関する説明(エッセイ)を読んだことがきっかけでした。 描かれた背景や登場人物の役割、構図の面白さなど、1枚の絵画をミステリー小説を読み解くように鑑賞する面白さに目覚めたのです。

その後「中世・近代以前の西洋には“子供”という概念はなく、”小さな大人”として扱われていた」と知った時も驚きました。

子供という概念(感覚)が誕生する以前、ある程度の成長を遂げると働くようになり、「小さな大人」として扱われたそうです。そのため、服装や娯楽等においても大人と区別される事はなく、性道徳に関してもなんの配慮がなかったらしいのです。これを知ってからあらためて作品を鑑賞すると、なるほど子供ではなく小さな大人が作品中に登場していることに気がつきます。

異なる文化、言語、宗教、価値観を持つ相手(作品)と対峙するには、その違いを知らなければ、コミュニケーション(鑑賞)は難しい、ということでしょう。

世界のビジネスエリートが身につける教養 西洋美術史」は、巻頭と巻末に年表や資料も添付されているものの、教科書的な美術史とは趣が異なります。美術史書の多くは、その時代を代表する作品をピックアップしながら、その作品の特徴と時代を解説するスタイルが多いとおもいます。しかし本書は、歴史的背景や当時の人々の価値観や暮らしぶりの解説に焦点があてられ、″その結果、この様式(スタイル)の美術作品が生まれた”という結論が導かれる構成になっています。ほんのちょっとした違いですが、「覚えるぞ!」と意気込まなくても、歴史小説を読むがごとく、すんなりと頭に入ってきます。

そして”分かった”後で絵画を鑑賞すれば、これまで目に入ってこなかった細部も、認知することができ、それが作品を読み解く大事なヒントだったことに気づくかもしれません。

もちろんこの1冊で西洋美術史のすべてが学べるわけではありません。紹介されている作品はカラーではないし、誰もが知っている有名な作品を丁寧に解説している本でもありません。でもこの本は、美術作品を数倍面白く鑑賞できる方法が指南されています。木村さんの筆力によるところも大きいと思いますが、本を通して勉強・学習しているというより、単純に“読み物”として楽しめる1冊です。

ヨーロッパやアメリカには、すばらしい美術館がたくさんあります。

旅行へ行く機会があったら、美術館へもぜひ足を運んでください。

もちろん「字幕付き」で観賞することをおすすめします。

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