映画「聖なる鹿殺し」感想(ネタバレあり)

こんにちは、マーゴです。

第70回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した『聖なる鹿殺し(原題The Killing of a Sacred Deer)』を鑑賞しました。

あらすじ

心臓外科医スティーブンは、美しい妻と二人の子供に恵まれ郊外の豪邸に暮らしていた。スティーブンは、マーティンという名の少年と時々会っていた。マーティンの父は、スティーブンの手術中に亡くなったこともあり、父親の代わりに何かと気にかけてやっていた。しかし、マーティンを家族に紹介したときから、奇妙なことが起こり始める。子供たちは突然歩けなくなり、食事もとれなくなる。家族に一体何が起こったのか? 困惑するスティーブンに、マーティンは”これから起こる最悪のこと”を告げる。その最悪の事態を避けるために、スティーブンは、究極の選択を迫られるが…。

解説

監督はギリシャ人のヨルゴス・ランティモス。
前作「ロブスター」では、アカデミー賞脚本賞にもノミネートされた奇才です。

ギリシャ悲劇『アウリスのイーピゲナイア』がモチーフとなっているそうです。
簡単に説明すると、「ギリシャ軍の総大将アガメムノンが狩りをした際、狩りの女神アルテミスの怒りをかってしまう。その償いとして、娘を生贄として差し出さなればならなくなり、父アガメムノンは苦悩に陥る」という話です。

主人公のスティーブンには「ロブスター」にも出演したコリン・ファレル。その妻役は、オスカー女優のニコール・キッドマン。 この大物俳優たちを追い詰めるマーティンを、「ダンケルク」で注目を集めたバリー・コーガンが怪演しています。

一言で説明するなら、不条理サイコスリラー。
ちょっと「エスター」を彷彿とさせる、逃げられない怖さを感じます。

ところで、私は最初、「聖なる」+「鹿殺し」とタイトルを読みましたが、原題(The Killing of a Sacred Deer)をみると、「聖なる鹿」+「殺し」なのかな。
日本語って難しい…。

感想

ミステリーは大好きだけど、ホラーや暴力シーン、グロいシーンは苦手な私。
予告編が怖かったので、観るかどうか迷った作品。

結果的には観て正解。
面白かったです。

ランティモス監督は、奇才ですが変態にちがいないでしょう。

最初から最後までイヤな感じしかしません。
街角や病院、ダイナーで食事をしているシーンなど、これといって何が起きているわけじゃない風景でも、なぜかイヤな感じ。 これが撮影監督の腕のすごさでしょうか。

スティーブンは、自分の罪の代償として、家族の誰かを生贄としなければならない、という状況に陥ります。
誰を選ぶのか、それとも誰も選ばないのか。
彼のおかれた状況も不快ですが、“選ばれたくない”家族の言動も不快。
スティーブンが、学校の先生に「二人の子供のうち、どちらが優秀か?」と質問するのも、超不快。
優秀な方を生き残らせようという発想自体が、すでに絶望的に不快(お前は、ヒトラーか!)。

いろいろストレスフルだし、イヤな感じの映画なのに、そこがいい。

スティーブンの最終決断が気になり、目が離せない面白さがあります。

でも、作品の中で流れる不協和音(前衛音楽?)は、やり過ぎです。
「怖いぞ~」と強制されているようで、かえってシラける。 それに、耳障りな音なので、気になってストーリーに集中できません。

もう一つ、なくてもよかった気がするのが、マーティンを地下に監禁する流れ。
それまでの「なぜこうなる?」という展開が、いっきに普通になった感がしました。
いや、一般市民の行動としては普通じゃないわけですが、映画としては「わけが分からん」感を最後まで押し通して欲しかったです。

ニコール・キッドマンがすばらしい。
究極の選択を迫られる夫に「残酷だけど、殺すなら子供たちよね」と言ってしまうような母親役が、ピッタリはまっています。
作りものめいた美しい顔が(ちょっとは本当に作っていそうだけど)、かえって不気味。
さすがの存在感。
本作では、上下そろってない色気のない下着を身につけているし、普段着もオバサンぽいのに、美しい人は何着ても美しいのね。 そして見事な腹筋 笑。

一家に呪いをかける少年、マーティンを演じたバリー・コーガンは、「顔」がいい。
もって生まれたものですが、この顔だからこそ効果的な役がたくさんありそう。 本作でも、“友達になりたくないタイプ”という雰囲気を持つ少年役が、とても合っていました。

マーティン以上に怖いのは、実はスティーブン一家かもしれません。
家族のひとりを生贄にした後も、家族そろってダイナーで食事をするラストシーン。
個人的には、ここが一番怖かった。

もう一つ怖かったもの。
それは、マーティンのステッカー。
劇場入り口でいただきました。

これを私にどうしろと?

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